〔相続税の計算の流れ〕(イメージ)

おおよその相続税額は次のように計算できます。

1.相続人の確認

  1. 配偶者は必ず相続人になります。

  2. 子供がいる場合は子供が相続人になります。

  3. 子供がいない場合は親が相続人になります。

  4. 子供も親もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。

〈多いケース1〉

配偶者と子供2人 → 相続人3人

〈多いケース2〉

子供2人 → 相続人2人

(注)「相続人」と「法定相続人」は厳密には違いますが、特殊なケースを除いて一致するので、ここでは区別しません。

2.財産の集計

(1)財産(正味の財産)はいくらあるか計算します。

※正味の財産の額は〔課税価格〕といいます

 

財産(正味の財産)は

財産  ―  債務、葬式費用

で計算します。

①財産とは以下のようなものになります。

預金

相続があった日の残高です。通帳で確認します。

土地

土地の面積(㎡)に路線価を掛けて計算します。

路線価は国税庁のホームページで確認できます。

固定資産税の通知書に載っている固定資産税評価額でもおおよその金額がわかります

建物

固定資産税の通知書に載っている固定資産税評価額になります。

上場株式

相続があった日の株価に持ち株数を掛けて計算します。

生命保険金

相続人等が受け取った生命保険金の額

ただし、相続人の数×500万までは非課税になります。

相続人が亡くなった人(被相続人)から3年以内に受けた贈与額

その金額

②債務、葬式費用とは以下のようなものになります。

借入金

相続があった日の残高を確認します。

金融機関で残高証明を取得して下さい。

住宅ローンで団体信用生命保険から残額が支払われるものは含めなくてOKです。

未払いの税金

すでに納付書が来ている分の固定資産税や住民税でまだ払っていない金額、もしくは亡くなった後に払った金額

その他の費用

病院や介護施設などへ支払った金額で亡くなった後に支払った金額

葬儀会社へ支払った葬儀費用

香典返しの費用は除きます

初七日、四十九日の費用は含みません。

寺社へ払ったお布施、戒名料

領収書がない場合は支払った金額がわかればOKです。

(2)基礎控除の金額を計算します。

基礎控除額

3000万円600万円×法定相続人の数

〔例〕

相続人3人の場合

3000万円600万円×3人4800万円

3.相続税の総額の計算

課税価格(正味の財産)から基礎控除額を引きます

これを「課税遺産総額」といいます。

①の「課税遺産総額」をそれぞれの相続人が法定相続分で相続したと仮定してそれぞれの相続税額を計算します。

※法定相続分
(ケース1)

相続人が配偶者と子供の場合

配偶者 → 1/2

子供  → 1/2

子供が2人以上いる場合は1/2を人数で割ります

たとえば、子供2人の場合はそれぞれ

1/2 ÷ 2 = 1/4

子供3人の場合はそれぞれ

1/2 ÷ 3 = 1/6

(ケース2)

相続人が子供2人の場合

それぞれ1/2ずつ

(ケース3)

相続人が配偶者と(被相続人の)母親の場合

配偶者 → 2/3

母親  → 1/3

(ケース4)

相続人が配偶者と(被相続人の)妹の場合

配偶者 → 3/4

妹   → 1/4

②で計算した相続税額を合計します。

〔例〕

相続人・・・配偶者(妻)、子供2人

正味の財産(課税価格)・・・8000万円

①課税価格(8000万円)基礎控除額(4800万円)
3200万円(課税遺産総額)

  

基礎控除額3000万円600万円×

②それぞれの相続税額

3200万円×1/21600万円

相続税額

1600万円×相続税率15%50万円190万円

子供

3200万円×1/4800万円

相続税額

800万円×相続税率10%80万

③合計

妻190万子供80万×350万円

4.納付税額の計算

それぞれの相続人が実際に相続した割合で相続税の総額を分けます。

それぞれの相続人に固有の税額控除を控除します。

〔例〕

相続人・・・ 配偶者(妻)、 子供A、 子供B(一般障害者、40歳)

相続税の総額350万円

遺産の分割割合

〔パターン1〕
配偶者(100%)、 子供A(0%)、 子供B(0%)

〔パターン2〕
配偶者(60%)、 子供A(20%)、 子供B(20%)

〔パターン3〕
配偶者(0%)、 子供A(50%)、 子供B(50%)

〔パターン1〕

配偶者350万円×100%350万円

350万円配偶者の税額軽減(350万円)

配偶者が相続する分については1億6000万円まで税額軽減(控除)があります。

〔注意〕この場合、納付税額が0になりますが、税務申告はしなければなりません。

子供A350万円×0%

子供B350万円×0%

〔パターン2〕

配偶者350万円×60%210万円

210万円配偶者の税額軽減(210万円)

配偶者が相続する分については1億6000万円まで税額軽減(控除)があります。

〔注意〕この場合、納付税額が0になりますが、税務申告はしなければなりません。

子供A350万円×20%70万円

子供B350万円×20%70万円

70万円―障害者控除(70万円)=0

一般障害者は85歳まで1年につき10万円の控除があります。

〔パターン3〕

配偶者350万円×0%

子供A350万円×50%175万円

子供B350万円×50%175万円

175万円障害者控除(175万円)

一般障害者は85歳まで1年につき10万円の控除があります。